佐藤琢磨「まずは完走」=デビュー控えるスーパーアグリが会見

“純日本製チーム”スーパーアグリが、ついにデビューを迎える。今季よりF1に参戦する「SUPER AGURI Formula 1」(以下、スーパーアグリ)が4日、都内でチーム体制発表会見を行った。鈴木亜久里代表のほか、ドライバーの佐藤琢磨、井出有治が出席し、およそ1週間後に開幕(バーレーンGP、10日~12日)を控えたデビューシーズンに向けて抱負を語った。

 チームは、2005年10月にFIA(国際自動車連盟)にF1参戦のための申請を行ったが、同年12月1日に発表された「エントリー・リスト」からは、手続き上の不備で外れた。その後、2006年1月になって追加申請が認められたものの、準備期間があまりに短く、前半戦の苦戦は否めないという見解が一般的になっている。鈴木代表も「大きな自動車メーカーと戦うには、われわれは小さな規模。どうやって戦っていけるのか、まだ想像できない」とスタート段階での厳しい状況は認識している様子だ。
 新車導入まで使用する「SA05」は、旧アロウズのファクトリー、リーフィールドで製作されたもの。かつてのアロウズの2002年型車体をベースにホンダのV8エンジンを搭載。現行の規定に従った仕様に改造を行った。また、タイヤもブリヂストン製を装着する。だが、チームの立ち上げから間もないため、「パフォーマンス的にそんなに期待できないことは間違いない」(鈴木代表)という苦境にある。また、英国GPの舞台となるシルバーストーンでのテスト走行も、降雪の悪天候で十分に行うことはできなかった。
 しかし、新たな挑戦に向けて、鈴木代表は「第一歩を踏み出さなければ、次のステップには行けない。できるだけ早く戦闘力のある車をドライバーに用意して、鈴鹿に帰ってくる頃(10月)には“戦闘力のあるチーム”と“戦える2人のドライバー”で帰って来られるように頑張りたい」と、現在開発中の新車「SA06」投入による巻き返しを誓った。

「亜久里さんとタッグを組んで新しいチームでやることは、僕にとってもチャレンジ」と話した佐藤も、SA06の登場を待ち望んでいる。「まずはグリッドに並んで完走して、一周でも多くたくさんのデータを取り、チームとともに前に一歩ずつ進みたい。そして、今開発している新車をできるだけ早く手に入れて、後半戦ではポイント(8位以内)を目指していける走りができればいいと思う」と意気込みを語った。一方、佐藤とともにドライバーを務める井出は、F1初挑戦。「高いレベルでマシンをコントロールすることには、やりがいを感じる。F1でレースをする大きなチャンスを与えてくれた関係者のためにも、皆さんの期待に応えられるように頑張りたい」と話した。

 1日には、昨年までルノーのテストドライバーだったフランク・モンタニー(フランス)と開幕2戦目までの限定で控えの第3ドライバーとして契約したことを発表。開幕戦のバーレーンGP(10日開幕、12日決勝)で使用するマシン「SA05」はこの日、英国の工場から当地へ輸送されるという。紆余曲折(うよきょくせつ)を経てたどり着いた夢が、いよいよ幕を開ける。

[ 3月4日 17時42分 更新 ]

カテゴリー: F1 パーマリンク

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